薬師如来について

薬師如来像

無病息災、健康長寿、
心身を癒す薬師如来

薬師如来(やくしにょらい)は、正式な名称は「薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)」で、仏教における医療と健康の守護仏として知られています。

薬師信仰は古くから日本に伝わり、人々の病気や苦しみからの解脱を願う深い信仰の対象となり、すべての生きとし生けるものの病を治し、健康をもたらすとされています。

薬師如来のご利益とご真言

薬師如来は、病気の治癒や健康の維持だけでなく、貧しい人々や心の苦しみを抱える人々にも助けを与えると、信じられています。

薬師如来のご真言は「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ」です。このご真言は病気を取り除き、身体と精神の健康をもたらす力を持つとされています。

このご真言を唱えることで、心身を浄化し、平和が得られると信じられています。

ご真言について見る

薬師如来のお姿

薬師如来像

薬師如来は、東方に位置する浄瑠璃世界の教主とされ、体から青い瑠璃色の光を放つ姿で表されます。その輝きは人々の心身を浄化し、癒すと信じられています。

薬師如来像の右手は施無畏印(せむいいん)※1 で、薬指を少し前に傾けた形をしています。左手は与願印(よがんいん)※2 で多くの場合、薬壺を持っています。

※1施無畏印は、手を上げて手のひらを前に向け、恐れを除く印相です。
※2与願印は、手を下げて手のひらを前に向け、願いを叶える印相です。

薬師如来の歴史と由来

薬師如来は、古代の仏教経典である『薬師如来本願功徳経』に由来します。この経典には、薬師如来が十二の大願を立て、衆生の苦しみを癒すことを誓う姿が説かれています。

日本では奈良時代に伝来し、平安時代には薬師如来を信仰する寺院が盛んになりました。薬師如来は病気治癒や健康祈願の願いを叶えるとされ、その信仰は現代にも続いています。

薬師如来の十二大願

十二大願とは、薬師如来が仏となる前に菩薩として修行していた時に立てた誓いです。
薬師如来が将来悟りを得たときに、すべての人々を迷いや苦しみの闇から救い、
真の悟りへと導くという強い決意が込められています。

  • 自らの光で三千世界を照らし、あまねく衆生を悟りに導く
  • 仏教七宝の一つである瑠璃の光を通じて仏性を目覚めさせる
  • 仏性を持つ者たちが悟りを得るためのあらゆる物品を施す
  • 世の外道を正し、衆生を仏道へと導く
  • 戒律を破ってしまった者をも戒律を守れるよう援ける
  • 生まれつきの障碍・病気・身体的苦痛を癒やす
  • 困窮や苦悩を除き払えるよう援ける
  • 成仏するために男性への転生を望む女性を援ける 1
  • 一切の精神的苦痛や煩悩を浄化できるよう援ける
  • 重圧に苦しむ衆生が解き放たれるべく援ける
  • 著しい餓えと渇きに晒された衆生の苦しみを取り除く
  • 困窮して寒さや虫刺されに悩まされる衆生に衣類を施す

※1 仏教では女性の成仏が困難であるとされているため、女性が成仏するために、一度男性に生まれ変わって成仏するという考え。

仏様の位

紀元前後、釈迦の教えをもとにあらゆる人々の多様な願いに応えるために、多くの仏様が紹介されました。
仏様は大まかに4つの階層に分かれており、それぞれに役割があります。
その中でも如来は、完全に悟りを開いた最も高貴な存在とされています。

階層特徴代表的な仏様
如来真理に目覚め、完全に悟りをひらいた仏様の頂点。釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来、大日如来など
菩薩悟りを求め、衆生を救うために多くの修行を重ねる仏様。観音菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩、地蔵菩薩など
明王道を外しそうな衆生を鬼の形相で導く仏様。如来の化身。不動明王、愛染明王、降三世明王、軍荼利明王など
天部天上界の仏様とその教えを守護する神。四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)など

脇侍と守護神

薬師如来は、日光菩薩と月光菩薩を脇侍として従え、昼夜を問わず衆生を守護しております。

さらに、十二神将が薬師如来に仕え、薬師如来の十二大願に応じて、それぞれが昼夜の十二刻、十二の月、または十二の方角を守り、信者の病気平癒や厄災除け、福徳増進を助けます。

これらの守護神たちは、薬師如来と共に信仰され、信者に強力な加護をもたらすと言われています。

脇侍と守護神