ご真言

薬師如来のご真言

オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカoṃ huru huru caṇḍāli
mātaṅgi
svāhā

薬師如来のご真言は、「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」と唱えます。

聖なる言葉であるご真言をただ無心に唱えることで、薬師如来の加護と癒しの力を得られるとされています。
心の清浄さと誠意を持って唱えることが重要です。

住職の法話
「痛いの痛いの飛んでけ」

お薬師様のご真言(仏の働きを表す呪文)は「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」です。ご真言や陀羅尼は訳すものではありませんが、おおよそ「帰依し奉る、病魔を除きたまえ払いたまえ、センダリやマトーギの福の神を動かしたまえ、薬師仏よ」となります。

子供の頃は、このまじない言葉は抜群の効きめで、目イボのできた時は「アビラウンケンソワカ」と父に唱えてもらい、フーッと息で吹いて100%治りました。また薬師真言のあとに「チチンプイプイ、痛いの痛いの飛んでいけ」で本当に楽になりました。

あるお婆さんがお祓いのご真言を和尚さんから教えられ、「大麦小麦二升五合」と覚えて大層な効き目でした。ところが、次に来た和尚さんに、正しくは「オウムショジュウ、ニショウゴシン」だよと直されて、とたんにお婆さんのご真言の効きめがなくなりました。

現代人は、いつも効率とか効力を真先に考えますが、のどが乾ききった時は、どんな栄養剤よりもたった一杯の水が命を元気づけます。ご真言とは、自分の治る力と仏様の治す力を信じて、一心に唱える時に輝きはじめる世界です。

薬師真言のコロコロは、患部をなでてさする母の手です。悪いしこりを解きほぐし、痛みを丸め取って、ピーンとはじき飛ばしてしまいます。唱える数は、三・七・十三回、我が子に幸せを吹き込むチャンスです。

第十九番札所 昌龍寺 霊元丈法

ご真言とは

ご真言(マントラ)は、古代インドのサンスクリット語(梵語)で記された仏教の祈りや呪文を指し、サンスクリット語で唱えられます。

ご真言には、「真実の言葉」という意味があり、仏様の教えや功徳が秘められた呪文のことです。

各仏様には、仏の真実の言葉である真言が備わっています。その真言を唱えることにより、仏の聖なる力が宿り、仏と一体となれるとされています。

お経とご真言の違い

経典にはお経の部分とご真言の部分があります。お経は、仏教の教えや規律を論理的に記している文章で、訳したり解読することが可能です。

一方、ご真言は、音そのものに霊気が宿っています。そのため、意味はわからなくても、繰り返し声に出して唱えることで、言葉の持つ不思議な力により、功徳が得られるとされています。

ご真言の起源

インドにあるアジャンター石窟群の仏像
インドにあるアジャンター石窟群の仏像

ご真言の起源は、仏教成立以前のバラモン教の呪文に由来します。バラモン教は紀元前1500年頃にインドで成立し、紀元前800年に最盛期を迎えましたが、紀元前500年頃には仏教など新しい思想が登場しました。

その後、仏教が広がる中で、バラモン教から派生したヒンドゥー教が成立し、民衆の支持を集めました。ヒンドゥー教は多神教で、マントラ(ご真言)を捧げて現世利益を求める教えです。

仏教もこの流れを受け、ヒンドゥー教のインド古来の神々やマントラを取り入れ、数々の仏様やご真言が信仰されるようになりました。