第30番 阿蘇山 西巌殿寺

西巌殿寺は熊本県阿蘇市にある天台宗のお寺で、古くから阿蘇山修験道の拠点とされてきた九州屈指の古刹です。神亀3年（726年）、天竺・毘舎離国から来た最栄読師という僧が阿蘇山上に建立した寺院を本堂とし、天台の教えを信仰する修行僧、真言宗系の修験者や山伏が集まり、僧侶の坊舎が37ヶ所、それに属する庵が数多く作られ、それらの総称を西巌殿寺とされました。

戦国時代の兵火によって焼失してしまいますが、慶長5年（1600年）、熊本城主・加藤清正によって再興され、明治時代の廃仏毀釈まで繁栄しました。本堂は平成13年（2001年）の火災によって焼失し現在は礎石のみとなっていますが、本堂跡には阿蘇檜や公孫樹の古木が残っています。周辺には僧坊跡が点在し、貴重な文化財が数多く保管されています。

阿蘇山上には奥の院が再建され、古来より縁結びの山として信仰を集めていたこともあり、良縁成就を願う参拝者で賑わいを見せています。