第4番 東照山 種因寺

種因寺は天台宗の開祖・最澄（伝教大師）によって弘仁元年（810年）に開基され、最澄が謹刻したとされる七体の薬師如来像である「七仏薬師」の一つが安置されています。

「桂川町誌」によると、かつての種因寺は地方では珍しいほど寺領が多い大寺院で、古図によると本堂・回廊・楼門・五重塔・鐘楼・仁王門・御供屋などが建ち並ぶ大伽藍であったそうですが、戦国時代の大友宗麟と島津貴久の戦いの兵火によって焼失してしまいました。焼失後、暦応2年（1339年）8月に霊山という僧によって中興されたとの記録が残されているそうですが、大友宗麟や島津貴久が活躍した時代と齟齬が生じるため、元号の誤りではないかといわれています。

種因寺に安置されている薬師如来像は別名を法海雷音如来とし、厨子入りの秘仏で、12年に一度だけご開帳されます。御前立の像は説に南北朝時代の作で、脇士に日光菩薩、月光菩薩、十二神将や客仏が安置されています。境内には江戸時代のものと推測される十三の如来・菩薩・明王の石仏や、最澄の母のお墓と伝えられている五輪塔墓群があります。